品質管理とは、基本的にムリ・ムダ・ムラを排して、管理された品質の品物をお客様のお手元にお届けするための技法ですが、その基本的な理念について十分に了解していないと、せっかくの技法習得も宝の持ち腐れになってしまう恐れがあります。最近は積極的にISOセミナーに参加してISO9001を取得する企業が増えています。

そのためには、まずTQC(トータル・クオリティ・コントロール)の理念を理解する必要があります。TQCとはその名の通り、QC(品質管理)を製造部門だけの製造管理技法ではなく、全職場におけるお客様を対象とした商品・サービスの品質安定の技法として敷衍したものです。

この場合、大事なことは“お客様”とはだれか、という概念の再構築です。TQCでは、社内でも仕事の後工程に対して、“お客様”と意識して扱います。製造工程であれ事務工程であれ、職場では段取りに従って、仕事が流れていきます。このとき、前工程から後工程への流れがスムーズであるほど、仕事自体の流れは順調になります。そしてこの仕事上での後工程を、“お客様”と意識して、そのお客様に満足をもたらすために、今自分の目の前にある仕事が存在するのだという考えで、その品質を安定管理してゆくのが、TQCの基本理念なのです。ですから、社内はお客様や仕入れ先様だらけです。仕事に手抜きは許されません。

このような意識が、日本の品質管理技術を育て、一見過剰と思えるほどの高品質の製品・サービスを提供してゆく原動力になってきたのです。